養殖本格稼働!

養殖

実は…近年「国内からニジマスが消えた!」と言われるほどニジマス枯渇でして、釣り堀用の魚の入手がとても不安定な状態となっております。

よくいらっしゃって頂いているお客様には、魚が入らないと泣きそうな私を何度か見て頂いたこともあるでしょう(^^;

いらっしゃっても魚が少なくて釣りにくい状況の克服や、確実な放流のため、昨年秋よりニジマス・ヤマメ・イワナの養殖を本格的に開始いたしました!

昨年試験的に行った採卵や繁殖で、感覚も分かりましたしね。

本格的と言いましても、外に販売できる量の養殖は来シーズン以降で、今シーズンは何より自家消費用の確保が目的です。

そもそもほぼ独学ですからね(^^; 幸いバリバリの理系出身なので、養殖方法に関する文献や論文を読むのが苦にならないのが救いです。

ちなみに昨年の様子は以下のリンクをご覧ください!
https://www.krbc-fishing-camping.fun/egg-aquaculture/

孵化槽の作成

昨シーズンの試験繁殖では孵化槽としてプラスチックコンテナを使ったり、孵化盆として農業用のプラ播種コンテナなどを代用していましたが、本格稼働にあたり、きちんとした孵化槽を作成することにしました。既製品購入も考えたのですが、とってもお高いので(^^;

目標は10,000円以下で作成する!です(笑)

当初はニジマスのみの採卵の予定でしたので、孵化槽はいわゆる「アトキンス式」で作成しようと思っていたのですが、急遽ヤマメとイワナの採卵も行うことになったので、「タテ型」で作成しました。

タテ型の特徴は、各槽の下から入水し、上面から排水する槽をいくつか連結した構造になっていることです。

アトキンス式は孵化槽を広くとり、孵化後もそのまま仔魚水槽として使用できるのが利点です。一方のタテ型は孵化後は仔魚を移動させることが前提となりますが、今回は当面そのまま仔魚飼育することとなります。

そして作成したものが以下の通りです。

孵化槽です。長軸方向がおよそ1 m 80 cm、幅が38 cm、深さは約34 cmとなります。
孵化盆です。底面は網戸用のネットを張りました。

これに光遮断用の蓋が付きます。

総材料費は9,000円ちょっとで、10,000円以下での作成の目標はクリアされました(笑)

採卵の4日前から注水して確認しましたが、コーキングした継ぎ目や材木の節からの水漏れがあったり、そこそこ大変でした(^^;

採卵

そして採卵です。ニジマスの採卵は昨年行って感覚を掴んでいましたが、今シーズンは急遽ヤマメとイワナの採卵も行うこととなり、急いで情報収集です。

文献等を読みますと、ニジマスとイワナはメスやオスの腹を搾って採卵・採精する搾出法で行うことができ、メスも数年繰り返して採卵できますが、ヤマメは採卵すると死んでしまうので、腹を裂いて採卵する切開法が行われているとのこと。

ただ、今回は採卵に用いるヤマメのメスの数が限られているので、卵が成熟していないにも関わらず切開して殺してしまうのはリスクが高いと感じました。

そこで古~い論文などを読んでみますと、ヤマメでも搾出法で採卵することができ、且つ採卵後のメスも数割ではありますが生存して翌年も採卵できるとのこと。

そこで今シーズンはヤマメも搾出法で行うことにしました。一般に切開法で行うのは、多数から採卵する際の効率の問題と、搾出法で行った場合に池に戻した後の死魚の回収の手間などがあるからかと思われます。

そして今年最初に採卵できたのはヤマメでした。

採卵・採精のために麻酔中のヤマメ。死んでませんよ(笑)
採卵された卵。

結局ですが、ヤマメからは3週間に渡り4匹から採卵、8匹から採精できまして、総数で600~700粒くらいの受精卵を確保できました。できれば2000粒くらい欲しかったのですが、ヤマメは1匹から採れる卵が少なくて(^^; 15粒くらいしか採れないメスもいました(^^;

実は抱卵メス自体は7匹いたのですが、ある日採卵を先に行った後、絶対いると思っていた採精できるオスがおらず、無駄にしてしまったという悲しいことがありました。いつも通り採精を先にすれば良かったのですが、これは今後の教訓です。

そして次に採卵できたのはイワナです。

採卵・採精のために麻酔中のイワナ。死んでませんよ(笑2)

ただ、イワナは抱卵メスが少なく、結局2匹から400粒程度しか採卵できませんでした。

そして最後に成熟してきたのはニジマスです。

採卵・採精のために麻酔中のニジマス。死んでませんよ(笑3)
受精後孵化盆に入れたニジマス卵。奇形卵が多い…。

ただ、ニジマスに至って問題が…。

昨年は7匹からそれぞれ1000~2000粒程度採卵できたので、今年も合計で8,000~10,000粒は採れるのではと考えていました。(ただ、昨年は初回だったこともあり、採卵が遅れて過熟卵になってしまっていたものが5匹いました。)

しかし今シーズンはメスの老化(おそらく4~5歳魚になっていたと思われます)が進んでいたためか、抱卵したものが水カビにやられて死ぬものが多く、また採卵しても潰れたり変色した奇形卵が多かったりで、結局は2メスから1,500粒程度しか採れませんでした。

発眼卵の購入

1,500粒ではこれまでの実績状、全て成魚になったとしても1年分には全然足りないので、急遽発眼卵を購入することにしました。

購入したのは長野の児玉養魚場さんの発眼卵です。ホームページの説明によりますと、全メス3倍体卵とのこと。

全メス3倍体卵は孵化するのは全てメスで、3倍体のため抱卵できない分、そのエネルギーを成長に回し、早く大きくすることができるのです。また、抱卵により食味が落ちることも防ぐことができるので、食用に有利な卵の処理方法とも言えます。ただ、当然育っても繁殖には使えません。

それにしても発送されてきたものを見て驚きました。

発眼卵は移動や衝撃などに対してかなり安定するとは聞いていたのですが、水なしの状態で梱包されてくるとは(^^; 卵をそれなりの期間水上に出して置くのは、過去に卵目メダカを飼育・繁殖していた時に経験しているのですが、1日程度とはいえ、マスでもOKなんですね(笑)

発眼卵が発送されてきた時の状態。水なしです(^^;
それを孵化盆に入れたところ。

うちで採卵したニジマスに比べて色が濃い(オレンジが濃い)のは、おそらく親魚に与えているエサの影響かと思われます。

孵化とエサの食べ始め

そしていよいよ孵化を迎えました。

水温が採卵から孵化まで平均およそ11.5 ℃でしたので、それぞれの孵化までの積算温度は以下程度と思われます。
ヤマメ:36 日間 = 414 ℃
イワナ:35 日間 = 402.5 ℃
ニジマス:31 日間 = 356.5 ℃

発眼までの積算時間も調べたかったのですが、どうも発眼の状態が良くわからなかったことと、孵化槽の構造上の問題(早く採卵したものの孵化盆が遅く採卵したものの下に置かれてしまうため、発眼が確認できない(^^;)のため、来年以降の課題です。

孵化したイワナの仔魚。イワナは孵化率が悪く20 %くらいでした。卵は過熟も無く良い感じだったのですけれどね…。

そして孵化から20~25日程度すると、ヨークサックも目立たなくなり、浮上(泳ぎだし)してエサも食べ始めます。

ヨークサックも小さくなり、あと1週間程度で浮上し始めるうちで採卵したニジマスの仔魚。
浮上し始めたうちで採卵したニジマスの仔魚。まだ結構な量が底面にいます。
浮上してエサをガツガツ食べ始めたヤマメの仔魚。底には混ざってしまった(^^; ニジマスの仔魚がいます。

エサを食べ始めると、なかなか留守にしにくくなるので大変ですが、一か月もすれば体力もついてくるでしょう(^_^)b

課題

今回孵化槽を自作しましたが、それなりに問題点が出てきました。

1.木の湾曲
底面と側面に使用した平板の湾曲が、特に水を入れてから問題になってきました。とにかく水が漏れるんです(^^; シリコンコーキングもしたのですけれどね。水圧に耐えられるよう作成には一部スクリュー釘を使用しましたが、もっと確実にくぎ打ちしないとかもしれません。圧壊するのも怖いし(^^;

2.節の影響
木材の節も問題でした。結構ここからも漏れる(^^;

3.木材の湾曲による隣の槽とのリーク
これは想定外のミス(^^; 第2槽に購入した発眼卵、第3槽にヤマメとイワナを入れていたのですが、ある日ヤマメ・イワナ槽の仔魚の数が急激に増加しました。第2槽の底面に木の湾曲による隙間ができたようで、まだヨークサックがあって泳ぎが弱いニジマス仔魚が大量に流されて入ってきていました(^^;
完全に分けて飼育したかったのですが…。第1槽のうちで採卵したニジマスと混ざらなくてよかった。

4.槽の間への仔魚の流入。
各槽の間は上面から排水され、下面から水が流れ出る構造になっているのですが、その槽の間に仔魚が入ってきてしまいました(^^; これは下面から流れ出るところに網を設置しなければいけなかったですね。上面には設置したのに(^^;

こんな風に槽の間に仔魚が入ってきてしまいました(^^;

5.飼育匹数
孵化してエサを食べ始めた様子から考えると、今回の7000~8000匹が、この孵化槽で飼育できる限界のような気がします。今後養殖量を増やすには、もっと大きな槽が必要かもしれません。
特にこの飼育密度についてはこの業界の闇のようなものもあるのですが、まぁ新参者が業界からハブられるのは避けたいので、横に置いておきましょう(笑)

秋以降期待してください!

親魚(釣りサイズ)までどの程度の歩留まりで育てられるかが今後の課題ですが、釣り堀サイズの100 g程度には早くて9か月、通常1年程度と言われています。

うまくいけばですが、今年の10月ころにはバンバン放流できて、お持ち帰り可能な匹数も大幅に上げて、皆さんをお迎えできると思います。…となれば良いなと思います(笑)

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